美術家 景山健さん(53歳)


ごひいき

景山健さん

美術家
景山健さん(53歳)

“ここ”でしか生まれない
記憶に残る作品を

美術家、「藝楽塾」主宰にして、横浜市立老松中学校美術科臨時教員。東京都出身で、幼少期に横浜に住み、現在は鎌倉に暮らしている。1988年、東京芸術大学絵画科油画専攻卒業。1990年、同大学院美術研究科修士課程修了。1997年、ジェラッシー・アーチスト・イン・レジデンス(米国)に参加。その後、現代美術作家として国内外で多くの作品を発表するほか、商店街や地域とコラボしたアートプロジェクトを企画している

 故・青江三奈さんと、その代表曲「伊勢佐木町ブルース」をモチーフに描いた伊勢佐木町商店街の大看板。現在は期間限定でミュージシャン・ゆずの新曲をテーマにした看板が掛けられ、話題となっています。今回は、この制作をプロデュースした美術家の景山健さんを訪ねました。

街の中で、移りゆく時を描き出す大看板

 横浜の歴史ある商店街のひとつとして、昭和の面影を今も残す伊勢佐木町商店街。その通りの一角に、この商店街から羽ばたいた人気デュオ・ゆずの新曲をモチーフにした大看板が期間限定で登場し、連日多くのファンが訪れています。実はこの大看板、伊勢佐木町の名を全国に広めた名歌手・青江美奈さんの代表曲で、冒頭の色っぽい吐息でも知られる『伊勢佐木町ブルース』をイメージし、10年前に建立されたもの。その制作のプロデュースに携わる美術家の景山健さんは、横浜の商店街と関わり合いながら、街を活性化するアートプロジェクトを数多く手がけています。
 「2001年にみなとみらいで“横浜トリエンナーレ”がスタートしたのを機に、伊勢佐木町や馬車道、野毛や元町など昔ながらの“リアル横浜”もアートで盛り上げようと、商店街で街頭芸術のプロジェクトを立ち上げました。以降、伊勢佐木町商店街とのお付き合いが深まり、青江美奈さんの歌碑の前に手描きの絵や商店街の地図を看板にして設置してはどうかと提案したんです。定期的に絵や地図を描き替え、昔の映画看板のように“時とともに変色し、最終的になくなる作品”として更新していくのも面白いんじゃないかって(笑)」
 こうして2004年に誕生した大看板には、これまでに青江さんの姿を描いた5パターンが登場。青江さんのご家族から借りた写真を元に景山さんが図案を考え、元映画看板職人の壁画家に依頼して描いてもらっているそうです。今回の“ゆず看板”も、事務所と商店街のオファーを受けて景山さんが企画したもので、青江さんの看板と同様の“昔懐かしい映画看板風”に仕上げられています。
 「今はもう見かけなくなった映画看板ですが、あの独特の技巧はほかにありません。私も小学生の頃から映画看板の前で足を止め、夢中で見入ったものでした。だからこそ、一級のワザとセンスを持った映画看板の職人さんに、再び腕を振るってもらう場所を提供したかったんです」

地域と一体になった花火プロジェクトも

 また大学院で壁画研究室に在籍し、宮崎駿監督のオファーでスタジオジブリの壁画制作も担当したという景山さん。今まで発表してきた作品はすべて、“今、その場所でしか生まれない表現”にこだわったもの。さらにその土地で生きる人たちと作り上げる花火プロジェクトなども手がけています。
 「2000年に開催された“越後妻有アートトリエンナーレ”へ参加したのをきっかけに、日本一の河岸段丘を有する新潟県津南町の地形を利用し、花火を使った作品を発案しました。これは、闇に広がる段丘のライン上(約7.4km)に、住民の手で火柱を上げるプロジェクトで、2006年秋に“河岸段丘花火”として実現。翌年からは地元有志の皆さんが受け継ぎ、毎年秋の“祭り”として定着しました。自分からの呼びかけに、地元の人たちが応えてくれるのは本当にうれしいですね」
 そして今は、2020年の開催を目指して、神奈川県の三崎から舞鶴までの沿岸をつなぐ相模湾の花火企画も進行中だそう。
 「やはり首都圏で実現するには、クリアすべき課題は新潟の比ではありません。でもダメになるなら、どこでダメになるのかを知るのも面白いと思ってね」と笑う景山さん。その瞳はどこか、少年のような輝きを宿していました。

景山さんがプロデュースした
“ゆず看板”は年内で見納め!

 ゆずのニューシングル『夜霧の伊勢佐木町』をモチーフにした大看板は、伊勢佐木町商店街の多目的ライブハウス「クロスストリート」前に今年の12月まで設置されています。ゆずバージョンは今しか見られないので、ぜひこの機会をお見逃しなく! さらに今後は、青江美奈さんをイメージした6代目の新看板が登場する予定。こちらも要チェックです。※看板変更のタイミングは未定。
詳細は伊勢佐木町商店街のホームページへ
伊勢佐木町商店街 http://www.isezakicho.or.jp

(左)「伊勢佐木町ブルース歌碑」前に建てられた大看板。写真は4代目の絵
(右)初代は『伊勢佐木町ブルース』のジャケット写真がモチーフ


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