どう変わる? どう変えていく? わたしたちの有給休暇


価値観が多様化する現代。しかしライフスタイルや働き方は違っても、私たちは「働く」という大きな共通項でつながっています。すべての女性が、"働くこと"とともにある日常をイキイキ過ごし、さらに自分らしい花を咲かせるお手伝いをしたい。
シティライフはその想いを胸に、春からもますます楽しく役に立つ情報をお届けしていきます。
今月の特集は、4月から法律が改正された「有給休暇」。自分らしく働くために、"休み方"について一緒に考えてみませんか。
撮影/亀谷光 構成・文/藤田郁美

さっぽろシティフレンズ/
長岐静香さん(保育士)
「有休は園児たちの夏休みや冬休みに合わせて取ることが多いです。いつか憧れのフィレンツェに行ってみたい」

同/
浅見静香さん(事務)
「今の部署に入って半年が経ち、今年度初めて有休がつきました!有休を利用して韓国旅行に行きたいです」

同/
秋山里奈さん(事務)
「積極的に有休を取る職場ではないかもしれませんが、時間の融通が利き残業もほぼないので、プライベートも充実しています」

同/
坂口智世さん(ピアノ講師)
「年間に決められたレッスン回数を果たせば有休はほぼ自由に取れます。今は子どものために使用することが多いです」

※シティリビングwebにて3/20~3/31に調査。
有効回答数214

 一言で「有給休暇」と言っても、人によってその事情は本当にさまざま。職場の制度や仕事の内容、そして本人の意識によって大きく違うといえるでしょう。でも「今よりもっとハッピーに働きたい」という思いはみんな同じはず。自分らしい働き方のための、有給休暇との向き合い方に迫ります。

Q . 有給休暇、希望通りに取れる?
(有効回答数214人)

「希望通りには取れないことが多い」「ほとんど取れない」という人の理由は「中小企業のため人手が不足している。休んだ分、売り上げに影響してしまう」(介護・福祉 35歳)「人手不足なので休むと周りに迷惑をかけ、出社したときの自分の負担も半端なく重い」(事務 43歳)など

Q . 昨年度の有給休暇、何日取りましたか?
(有効回答数160人)

*平成28年の全国的な平均取得日数→8.8日。(厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概要」より)

「16~20日」「21日以上」と答えた人の中には「祝日のある週の土曜日は出勤日になるので、有休を消化して休む。有休のほとんどはこれです」(事務 39歳)というケースも。また、前の質問で「希望通りに取れる」と回答しながらも「0日。特に取っていない」(調理 37歳)という人もいました

\ 読者の声 /
Q.有給休暇を取る際、また周りの人が取る際に"モヤッ" "イラッ"としたことはありますか?

「以前は 『こんな忙しいときに困るから、違う時期にして』 など上司から露骨に嫌な顔をされたこともあるが、ここ10年ほどでそんなこともなくなり環境が変わったと感じている」(営業 41歳)。

「病欠すると有休消化になるので、健康管理をきちんとしている人ほど有休を使えないことにモヤッ」 (事務 35歳)

「全く有休を使わない先輩がいます。先輩が取らないと、後輩が取りにくい!(中略)有休を取らないことを『よく働く私はえらい!』とまで思っている様子…。古い考え方のまま時が止まっています(苦笑)」(広報・宣伝 31歳)

Q.有給休暇、もっとこうなってほしい!こうしたい!

「小さい会社でも、社員が有休を消化する前提でスケジュールを組んでほしい」 (43歳 専門職)

「ゴールデンウイークやお盆、年末年始に集中して休むより、平日にバラバラに取れるシステムだといいなぁと感じる。特に今年の10連休はずらして取りたいぐらい」 (34歳 企画・マーケティング)

「役職のついた人が率先して取ってくれた方が、部下は取りやすくなると思います」(46歳 専門職)

Q.有給休暇がもっと取れたら、何したい?

「長期休暇を取って海外旅行に行きたい」 (27歳 事務)

「平日にお休みを入れて、土日に混むようなお店に行きたいです」 (35歳 事務)

「習い事や資格取得の勉強など新しいことにチャレンジしたいです」 (29歳 営業)

「何もない平日に休んでのんびりしたい。連休があっても家族がいると、食事の準備などで忙しくなるので」 (54歳 事務)

 正式には「年次有給休暇」といい、働く人の心身のリフレッシュを目的とした休暇です。必要な時期に、理由を問われずに取得できるとされています。

 この条件を満たしていれば、社員・アルバイトといった雇用形態に関わらず、原則最低10日の年次有給休暇を取得することができます。
※パートタイムで働いている人など、所定労働日数(働くことが定められている実労働日数)が少ない・不定の場合は、所定労働日数に応じて付与されます

有給休暇の時効は2年

 有給休暇は、付与された年の翌年まで繰り越すことができます。2年で時効となり、なくなってしまうということです。
 読者から「使えなかった有休を買い取ってもらうことはできないの?」という疑問も寄せられましたが、法律的にはNG。そもそも有給休暇は休養を目的とした制度であること、働く人の意志で取得できるものであることがその理由です。ただ、法定日数を超えた分の休暇日数(その会社が独自に定めている有給休暇)や、退職・解雇により消滅した日数はその限りではありません。

 4月1日から労働基準法が改正され、有給休暇に関する法律も変わりました。基本的には企業(雇う側)に課せられる法律ですが、取得する側としても、どんなふうに変わったのか知っておきましょう。

1年につき5日の取得が義務化

 すべての企業に対し、従業員に「1年に5日の年次有給休暇を取得させること」を義務付けました。違反が見つかった場合は指導、罰則が課されます。「休みたいけど休めない」と悩んでいた人にとっては朗報ですが、休みを取る側も今までよりも計画的に有給休暇を取るように意識する必要があります。

これまで

従業員の年次有給休暇の取得日数について、企業側の義務はなし

4月から

必ず年に5日、有給休暇を取得させることが企業の義務になる
*対象は、年次有給休暇が10日以上付与される人

取材協力/北海道労働局 雇用環境・均等部

 札幌でも「働き方改革」に取り組む企業は増えています。中でも積極的な活動を行っている企業で働く人に話を聞きました。会社の制度はもちろん、個人でも取り入れられる有休活用のヒントを探ります。

{ お話を聞いたのは… }
取締役 総務部長 兼
家庭用部管掌 吉本浩さん(左)
家庭用部 営業 庄司遥さん(右)

 勤務時間の短縮やスーパーフレックスタイムの導入、在宅ワークの推奨など、積極的に「働き方改革」に取り組んでいる北海道味の素。有給休暇の平均取得日数も15.9日と、全国平均の8.8日(※)を大きく上回っています。※厚生労働省「平成28年就労条件総合調査の概要」より
 「社員の見本になる基幹職(管理職)の労働条件も大切だと考えています」と話す総務部長の吉本さんは、自身もできるだけフルで有休を取っています。入社4年目の庄司さんいわく「(社内は)仕事もプライベートも、イキイキ過ごしている人が多いと感じる」そう。「有休を取って、子どもの行事に積極的に参加している男性の先輩が多いんですよ。お子さんもうれしいだろうなと思います」。

自分の残業時間や有給休暇の日数を意識しながら働く
 「入社時から仕事の進め方と一緒に、休みを含めたスケジュールの立て方も教わりました」と庄司さん。「働き方計画表」(労働時間の計画を立て、振り返りができるシート)を作成し、それをもとにした上司との面談も定期的に行われます。「有休の日数や残業時間などを意識するシーンが多く、それに合わせて働くことが習慣になっています」(庄司さん)。

目指すべきは効率化&生産性アップ。仕事のムダを徹底的に洗い出し
 「『休みをたくさん取れて・勤務時間が短くていいね』と思われることもあるのですが、重視しているのは休むことではなく、効率を高め、生産性を上げることなんです」と吉本さん。休みが増えたからといって、求められる成果が減るわけではありません。理想は効率的に仕事をし、そこで生まれた時間で余暇を増やすこと。そのための仕事のブラッシュアップは常に行っているそう。「ムダと感じる仕事はないか、現場の社員の声を届ける場もあり、すぐに見直し・改善をはかってくれます」(庄司さん)。

{ お話を聞いたのは… }
報道情報局 アナウンス部 兼
ワークライフバランス・
ダイバーシティ推進部 
森さやかさん

 「働き方改革」が難しい業種の一つといわれるのがマスコミ。HTBでも、以前は土日返上で働くことが当たり前のような雰囲気もあったと森さんは振り返ります。その意識が変わってきたのはここ5年ほどのこと。2016年にはワークライフバランス・ダイバーシティ推進部が発足し、育児休暇の整備や長時間労働の是正などへの取り組みが始まりました。
 自身も「ワーク・ライフバランス認定コンサルタント」の資格を持つ森さん。「自社はもちろんですが、北海道全体の働き方改革を進めるのも大切だと思っています。北海道には中小企業や、観光業などのサービス業も多く、これらの業界もうまく回るようになってこその働き方改革では」と語ります。広い影響力を持つマスコミだからこそできる働きかけにも期待したいところです。

仕事は一人で抱え込まず、複数でシェア
 「その人がいなければ回らない」ということにならないよう、仕事は必ず複数で担当しています。「チーム内でそれぞれの仕事内容を理解し、シェアする。テレビ出演も曜日によって担当を変えることで休みを取りやすくなるように取り組んでいます」。

日々のコミュニケーションで事情を"共有"。そこから理解が生まれる
 2人の子どもを育てる森さん。「かつては、職場で家庭の話は控えた方がいい雰囲気があったように思いますが、今は性別を問わず家庭やプライベートの話をする機会が増えたように感じています。子どもが何歳になったとか、親の介護の状況とか...それぞれの事情を共有することで"思いやり"や"フォロー"が自然と生まれる職場になるのだと思います」。また、有休を取るときに「当たり前の権利」と思わないことも意識しているそう。忙しい職場では「なんでこの時期に」と不満が出るのも自然なこと。このあつれきを解消するのもコミュニケーション。「フォローしてくれた人に『おかげさまで助かりました』と感謝を伝えることを忘れないようにしています」。

 働く人にとって「休み」はどんな意義を持つのか、これから有給休暇はどうなっていくのか…。長年人材育成に関わり、ワーク・ライフバランス認定コンサルタントでもある井島惠子さんに聞きました。そこには「休養」はもちろん、私たちの働き方、さらには生き方に関わる深い意味があったのです。

{ お話を聞いたのは… }
ブロッサム 代表 井島惠子 さん

人材育成コンサルタント・キャリアアドバイザー・メンタルコーチ・ワークライフバランスコンサルタント。札幌を中心に各地でビジネスマナーやコミュニケーション、メンタルケア講座などを行う

「取りにくい」ではなく「取らざるをえない」時代がくる

 「働き方改革」が実施された理由の一つに、労働力の減少があります。労働力を確保するために、労働(場所や時間など)の自由度を上げ、いろいろな状況の人が働きやすい環境づくりが必要だということです。
 育児はもちろん、今後は40~50代の人が介護のために有給休暇を取らなくてはならないシーンが増えるはずです。「取りにくい」と言っている場合ではなく「取らざるをえない」人が増える。そのときのためにも、自分がずっと会社にいなくても仕事が回る仕組みを作っておきたいですね。

休みから生まれる「本当の知性」

 有給休暇の目的の一つとしてよく上げられるのが「自己研鑽(さん)」。「習い事や仕事に関係するセミナーなどを受けろということ?」と思う人もいるかもしれません。
 もちろんそれもいい過ごし方ですが、自分を磨く方法はそれだけではありません。異業種の人と会って刺激を受けたり、新しい経験をしたり…仕事とは別の世界を感じることで、いろいろなことが見えてきます。同じ会社で同じ仕事だけをしていると、どうしても視野が狭くなりがち。会社と家の往復だけでは、「本当の知性」は生まれないのです。
 美術館で好きな絵を見るなどでもいいんです。「職場の自分」でない自分でいる時間を持つ、そのために有給休暇を活用できるといいですね。

 … もっと「休み上手」になるために …

⇨ 仕事の効率化を目指す
時間感覚を持ち、どんな仕事にもタイムリミットを決めるのがポイント
⇨ 仕事を一人で抱え込まない
「協力してください」とも「協力しますよ」とも言える職場に
⇨ ある程度は、割り切る
有給休暇は働く人が持っている権利。休むことに慣れるのも必要

 
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