働く女性の健康にフォーカスして紹介する「きちんと知る女性のカラダ」シリーズ。今回は、読者の90%以上が慢性的に感じているという「疲れ」について取り上げます。
※データは2018年6月6日~12日にシティリビングWeb会員へ実施したアンケートから。有効回答数306
イラスト:押金美和
教えてくれたのは…
ナカトミファティーグケアクリニック
院長 中富康仁さん
2002年京都府立医科大学卒業。2009年から大阪市立大学疲労クリニカルセンターに勤務。2014年にはナカトミファティーグケアクリニックの開院も。
あなたの疲労度をCheck!
《 チェックが多いほど疲労がたまっている証し 》
- 肩こりや腰痛がひどい
- 日中に眠気があるorあくびが出る
- 目の疲れを感じる
- つまずきやすい
- 持っている物を落としやすい
- 仕事でうっかりミスが多い
- 文章が頭になかなか入らない
- 寝ても疲れが取れない
- イライラして怒りっぽい
- 息切れ、動悸がする
こうなるとイエロー信号!
- 趣味が楽しくない
- 最近笑っていない
- ご飯がおいしくない
- 眠れない
Q. 疲れの原因はどこにあると思う? (複数回答)
1位 長時間のパソコン作業…72.5%
2位 同じ姿勢でいることが多い…68.3%
3位 家事…39.9%
4位 社内での人間関係のストレス…38.2%
5位 プライベートな人間関係のストレス…33.0%
思った以上にダメージを受けている!?
疲労感は麻痺することも
まず前提として知っておいてほしいのは、「疲労」と「疲労感」の違い。「疲労」とは、パフォーマンス(作業効率)が落ちること。その「疲労」を、神経や血液を介して脳で感じるのが「疲労感」です。
注意したいのは、疲労=疲労感ではないということ。疲労感はあくまで感覚。感覚は、よく麻痺してしまうのです。例えば、疲れたときに飲みたくなるコーヒーや栄養ドリンク。これらに含まれるカフェインが疲労感を麻痺させます。また、集中していると疲れを感じなくなることはありませんか? それも麻痺しているからこそ。麻痺すると、知らず知らず無理をしてしまう傾向が。集中した後、ドンと大きな疲労を感じることがあるのは、それが理由です。
ストレスやルーティンワークなどが疲れの原因に
心とカラダはリンクしています。“締め切りに追われる”“同時に多くの案件を抱える”“急な呼び出しがある”、そんなストレスを感じると、カラダが緊張し、戦闘態勢に入ります。交感神経が優位になり、その分エネルギーを使うことに。うまく休めなくなり、疲れがたまります。
また、ルーティンワークもよくありません。同じ姿勢でいると、その間ずっと同じ筋肉が緊張していることになり、血流も滞り、疲れにつながります。
女性は、ホルモンバランスが崩れると疲れやすくなります。出産直後や更年期は、特に注意。また環境面でも、家事や育児などの負担からくるストレスが、疲れを増長させることがあります。
積み重なると免疫力が低下
血圧上昇やうつ、胃潰瘍の危険も
疲れが積み重なって出てくる症状で多いのが、血圧の上昇、うつ、胃潰瘍など。その人のカラダの弱いところに出てきます。また、疲労により免疫力が低下し、ストレス性湿疹やヘルペスなどの症状が表れることも。大きなプロジェクトなどが終わり、緊張の糸が切れたとたん、疲労が表に出てきて風邪をひいてしまう…、といったこともよくあります。
疲れをためないためにこまめな休憩が有効
疲れをためないコツは、“こまめな休憩”がポイントです。長い間集中して作業し、まとめて休むという方法は、集中している間に疲労感が麻痺しているので、休んだときに、きちんと回復しきれていないことが多いのです。実は、“合間におしゃべりなど気分転換しながら仕事をする”、そんなスタイルが、一番疲れがたまらないのです。同じ姿勢で作業するときは、意識してときどき体をほぐすことが大切です。
「疲れが取れない」と感じたら内科へ
また、疲れの裏には病気が隠れている危険もあります。代表的なのは、甲状腺疾患と糖尿病。これらは症状だけでは分かりづらく、検査が必要です。“疲れが取れない”と感じたら、内科で相談を。かかりつけ医に相談する症状の2位は「疲れ」というデータもあります。“疲れぐらいで”と躊躇する必要はありません。
Q あなたの平均睡眠時間は?
Q 寝不足だと思う?
Yes 69.3%
日本人のほとんどに睡眠負債あり
プラス1時間でパフォーマンスUP
疲れを回復させるのは、何よりも「睡眠」です。読者アンケートでも一番多かった「6時間睡眠」ですが、実は、それでは足りていない人が大半なのだとか。そこで睡眠のヒミツを聞きました。
Q 寝不足でも休日に寝だめをしたら大丈夫?
毎日きちんと睡眠を 寝だめは睡眠自体の質が低下
平日は睡眠時間が少ない分、休日は寝だめをする─。実はこれでは疲れが取れていないことが多いのです。しっかり回復させるためには、“こまめな休憩”(「疲れ」のメカニズム参照)がいいように、毎日きちんと睡眠をとるべきです。さらに、休日に寝だめをするスタイルは、睡眠のリズムが崩れるため、睡眠自体の質が低下。特に朝遅くまで寝ていると、寝ながらでも光を浴びているため、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が減り、睡眠が浅くなってしまいがちです。
Q 6時間睡眠でOK? ショートスリーパーっているの?
6時間睡眠は異常な状態 “社会全体が疲れている”
日本は、韓国に次いで世界で2番目に睡眠時間が短い国といわれています。日本人の働く世代にとって、6時間睡眠が普通ですが、これは異常な状態で、“社会全体が疲れている”といえます。人それぞれ必要な睡眠時間は決まっていて、それを変えるのはなかなか難しいもの。ショートスリーパーもいるにはいますが、大多数の人が本来は毎日7時間~8時間の睡眠が必要です。
Q ベストな睡眠時間 どうやったら分かるの?
睡眠時間を30分~1時間長くとり、パフォーマンスアップを見つけて
実は6時間睡眠はとても中途半端。一応は回復した気になります。でも本当にそれがベストな睡眠時間なのでしょうか? 自分のベストな睡眠時間を知るためには、30分、または1時間、睡眠を長くとる暮らしを続けてみましょう。すると、大抵の人は、日常のパフォーマンスがアップするはず。一番いいパフォーマンスができる睡眠時間=ベストな睡眠時間なんですよ。
Q 質の良い睡眠を得るためにできることは?
就寝前のスマートフォンの使用を控え、朝に意識的にカラダを動かして
スマートフォンなどの光(ブルーライト)はメラトニンの分泌を阻害し、睡眠の質を低下させてしまいます。特に寝る直前は、スマートフォンの使用を控えましょう。また、日中の活動量が少ないと、睡眠が浅くなる傾向があります。とはいえ夜に運動すると興奮して寝付けなくなることも。おすすめは朝。軽いランニングやストレッチなどで、意識的にカラダを動かすようにしてみて。
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ホッと落ち着く香りでリラックス
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緑林の香り/日本予防医薬 2980円
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