日本酒造りに飛び込んだリケジョの人生は?映画「恋のしずく」を手がけた瀬木直貴監督にインタビュー


灘、伏見と並び、日本三大酒処として知られる広島県の「西条」。この西条を舞台に、日本の伝統文化である日本酒造りを担う人々の技と熱い想いを、女子大生の視点を通して描いた映画「恋のしずく」が今週末公開されます。

主人公は、東京の農大でワインソムリエを目指す“日本酒嫌い”のリケジョ・詩織(川栄李奈)。大学の研修先がよりによって日本酒の酒蔵になってしまい、渋々広島県西条を訪れます。厳格な蔵元(大杉漣)と折り合いの悪い息子(小野塚勇人)、頑固な杜氏と触れ合ううち、日本酒造りに魅せられていく様子を丁寧に紡いだ物語。本作が初主演となった川栄さん演じる詩織と、劇団EXILEメンバー小野塚さん演じる酒蔵の息子との恋の行方も描かれ、若い世代も見やすい映画になっています。

日本酒映画を作ろうと思ったきっかけ

作品を手がけたのは、三重県四日市市出身の映画監督・瀬木直貴さん。これまで「ラーメン侍」や「カラアゲ★USA」など、食べ物と土地の伊吹を掛け合わせた映画を得意としています。「年齢、国籍、宗教に関係なく、食べ物というのは生きとし生けるものが一番関心あるテーマ。実は『ラーメン侍』は豚骨ラーメンのお話なのに、中東のイスラム圏での上映がとても多いんですよ。次は、日本の伝統的な和食を彫り下げてみたいと思いました」

(=写真上)伏見ミリオン座にて、瀬木直貴監督

映画の題材を探すうち、「太古の昔から庶民でも冠婚葬祭のときや、喜怒哀楽の場面で身近にあった“日本酒”の映画を作りたいと思った」と話します。

瀬木監督は半年以上かけて、日本各地を取材。そして広島県の西条に出合います。「西条駅の前には、7つの現役の酒蔵が密集しています。駅から数分歩けば白壁の通りがあってレンガ造りの煙突がいくつも立っていて、あの美しい風景は日本ではあそこだけだと思います」

(=劇中場面写真)日本酒嫌いの詩織が日本酒の酒蔵で得たかけがえのないものとは―?

日本酒の美味しさを発見できる映画

「主演の川栄さんも主人公と同じように日本酒が苦手で、あまり飲めなかった。この映画を通して、日本酒の美味しさに目覚めたと本人が言っていました」というように、映画をひとたび見れば日本酒へ関心がぐっと高まります。

(=劇中場面写真)実際の酒蔵を借りて行われた撮影。

瀬木監督自身も40歳を過ぎてから日本酒の美味しさに気づいたひとり。「ワインにひけをとらないフルーティーな香りや華やぎ、のどごしのさわやかな日本酒がたくさん登場しています。年齢を重ねると、日本酒の奥深さを理解できるようになってくるんですよ」とほほ笑む瀬木監督。

劇中、ワイン一辺倒だった主人公の詩織も、日本酒のさまざまな飲み方や食べ物との合わせ方を知って、日本酒造りに開眼。やがて、詩織の人生にも影響を与えていきます。

(=劇中場面写真)徐々に距離が縮まっていく蔵元の息子(小野塚勇人)と詩織(川栄李奈)

「僕はホラーや殺人が起こる映画を観るのが苦手。自分が見たいと思う穏やかな作品を作りたい」と語った瀬木監督の言葉が印象的。「恋のしずく」は、原作のある映画ではなく、日本の風土や現地の人と接して自然と育まれた“たおやかな物語”。だからこそ、きっとだれの心にも優しく染み渡るはず。10月20日(土)よりイオンシネマ名古屋茶屋ほかにて公開されます。

 

瀬木監督から見た、大杉漣さん。本作が遺作に

漣さんは撮影中、若い俳優が役に集中できるようにさりげなく導くふるまいをしていましたね。また、散歩が好きで、撮影中もよく歩いていらした。「乃神輝義(大杉漣さんが演じた蔵元)は、65年間西条で生まれて育ってきた。その乃神輝義が、どういう風景を見てどういう空気を吸っていたのか自分の中にとり入れようと思って歩いている」と言っておられました。プロの俳優としては当たり前なのかもしれない。でも最後に「それが役に立ったかどうか分からないんだけどね」と漣さんらしい一言も。あの辺りにね、人間としての優しさだったり、度量の大きさを感じました。まったくおごることや威張ることなく、現場を楽しむような人なんですよ。

 

『恋のしずく』

監督:瀬木直貴 脚本:鴨義信
出演:川栄李奈、小野塚勇人、宮地真緒、中村優一、蕨野友也、西田篤史、東ちづる、津田寛治、小市慢太郎、大杉漣
★10月20日(土)よりイオンシネマ名古屋茶屋ほかで公開
©2018 「恋のしずく」製作委員会

http://koinoshizuku.com/

 


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