知りたい伝統工芸 前向きに輝く女性職人


日本文化が見直される一方で、後継者不足に直面している伝統工芸の世界。伝統を受け継ぎ、その素晴らしさを力強く伝える女性職人がいます。ぶれずに、しなやかにものづくりをする姿勢は、私たちも見習うことがたくさんありそうです。

職人として生きることを喜び、成長していきたい

梶浦 明日香 Asuka Kajiura

伊勢根付職人9年目。元NHK名古屋放送局・津放送局キャスター。担当コーナーで東海エリアの伝統工芸職人を取材するなか、細かな彫刻の美しさや粋な遊び心のある「根付」と、多くの人と助け合い暮らす師匠のくらしぶりに引かれる。伝統工芸の深刻な後継者不足を感じ、自ら2010年職人の道へ。2017年、女性職人グループ“凛九”を立ち上げ、イベントなどを通じて精力的に魅力を発信
http://asukanetsuke.wixsite.com/netsuke

三重県伊勢市周辺で制作されている「伊勢根付」は、江戸時代からお伊勢参りの土産物として流通。伊勢神宮の裏山、朝熊山の黄楊の木を使用します。制作工程は木を取りにいくところから始まり、デザイン画をおこし、木に作りたい作品のデザインを下書きして、少しずつ削って形にします。やすりで表面を滑らかにし、着色をして、約2~3カ月で完成。梶浦さんは、猿蟹合戦やかぐや姫など、昔話をモチーフにした作品が好きなのだそう。

「根付の魅力は、使うほどに作品が美しく成長するところ」。根付とは、江戸時代に着物の帯に巾着などをぶら下げる道具。使うほどに色合いや質感が美しくなる“なれ”を味わえ、海外ではアートとしても注目されています。
職人の作品は、その人の思いや人柄が現れると言われています。梶浦さんの作品は、愛きょうと思わず手に取りたくなるぬくもりを感じます。
現在は前向きに情報を発信する梶浦さんも以前は自分の将来が怖くなることも。「職人は年を重ねるほどにいい作品が作り出せると言われる職業。70歳でも若手で、90歳で一人前です。経験を積んで、日本人が昔から大切にしてきた考え方のつまった伝統工芸のすばらしさを、多くの人に伝えたい。実際に使ってもらい、魅力を感じてほしいですね」

体験施設

伊勢根付彫刻館

 梶浦さんの師匠・国際根付彫刻会前会長の中川忠峰さんが根付の楽しさと魅力を伝授。3時間でペンダントと小さい根付を制作できます。1人3000円、予約制。1回につき3人まで。

三重県伊勢市上地町1358-1 ℡0596-25-5988

初心者でも優しく教えてくれます

何度失敗をしても、それは未来への鍵となります

田村 有紀 Yuuki Tamura

七宝焼職人3年目。あま市七宝町で明治16年から続く「田村七宝工芸」の5代目。4代目の田村丈雅さんと七宝焼作家の太田美由紀さんが両親で、幼いころから七宝焼に興味をもつ。歌手など幅広く活動しながら、2015年に本格的に七宝焼職人へ。七宝ジュエリーブランド「SHIPPO JEWELRY -TAMURA YUUKI-」を立ち上げました
http://shippo-jewelry.com/

愛知県あま市七宝町発祥の金属とクリスタルガラスの合体工芸「七宝焼」。金属板の上に、釉薬と呼ばれるクリスタルガラス絵の具を乗せ、金や銀を使用し絵柄を描き、高温の窯で焼いて作られます。7つの宝物を散りばめたほど美しいことから七宝と名付けられました。自由なデザイン、色あせない鮮やかさ、目を奪われる美しさが魅力。デザインされた宝石とも言われています。

「11歳の時に学校の自由研究で、七宝焼について発表したのが初めての作品です。幼いころから七宝焼を見てきて純粋にすてきだなと」
両親の技術を誇りに感じていた田村さんは、「後継者不足の問題に直面した時に、1番近くで見ていた私が1番魅力を知っている、私がやらないといけないと自然に思いました。もともとモノづくりは好きだったし、両親が築き上げた技術と、七宝焼のかっこよさをもっとたくさんの人に知ってもらいたかったんです」。
受け継いだ技術に自分ならではの感性をプラスした商品作りを進めています。「七宝焼は、陶芸や日用品ではなく“美術品で装飾品”。独自の美しさを伝えていきたい。たくさんの人に伝統工芸の良さを知ってもらうために、自分自身が先頭を走り、これから職人という道を目指す次世代が希望を持てるような活動をしていきたいですね」

体験施設

あま市七宝焼アートヴィレッジ

七宝焼について見て・触れて・学んで・体験することができるあま市が運営している総合施設。4つのゾーンからなる七宝焼ふれあい伝承館とふれあい広場があります。季節限定のメニューもあり。詳しい体験メニューはホームページで確認を。

あま市七宝町遠島十三割2000
℡052-443-7588
http://www.shippoyaki.jp/taiken.html

10月は、ネコ型にコスモス模様が入ったかわいいブローチ

固定概念にとらわれず、新しいものを!

大須賀 彩 Aya Osuka

有松・鳴海絞括り職人12年目。20歳の時に、ヨーロッパを拠点にして有松・鳴海絞のインテリアを展開しているブランド「suzusan(スズサン)」に弟子入り。大学・大学院で絞り染めを研究。名古屋学芸大学ファッション造形学科の専任助手として働きながらも修行を続け、2017年に独立。100種類以上ある技法の中で若手初の「手筋絞」での伝統工芸士認定を目指しています
http://www.ayaosuka.com/

江戸時代の初めから400年の歴史を誇る「有松・鳴海絞」。旅人が故郷へのお土産にと、絞りの手拭いや浴衣などを買い求め、浮世絵にも描かれるほどの街道一の名産品になりました。布の一部に糸で縫う・くくる・挟むの3つの動作を施しさまざまな模様をつくりだします。着物や手拭いだけではなく、ドレスやスカーフなどファッションにも用いられています。

「学生の時に、初めて有松・鳴海絞を見て、直感的にやってみたいと」。一見どうやって作られているのかわからない有松・鳴海絞の模様のおもしろさに興味をもち弟子入りを志願。「絞り染めは、京都府や大分県、海外にもありますが、100種類以上の技法が存在するのは有松・鳴海絞だけ。表現方法やデザインもたくさんあって楽しいです」
初めは、厳しい職人の世界に驚き、何をモチベーションに頑張ればいいのか分からなくなり、悩んだという大須賀さん。「伝統という枠にとらわれず、新しいことに挑戦して、自分なりの色や考えを生み出せばいい、と思えた時に気持ちがフッと軽くなりました。それからは、いかに自分らしい有松・鳴海絞ができるか考えています」。SNSなどを活用して、伝統工芸の奥深さや、それを生かした新しい技術を伝えています。
「道は、いばらの道ですが諦めずにやっていけば必ず芽がでると思います」

体験施設

有松工芸

 江戸時代からの絞り道具や、今では絞り加工のできない作品を展示。有松絞りの歴史を学びながら、絞りのくくりから染色まで体験できます。詳しい体験メニューはホームページで確認を。

緑区有松3501
℡052-622-5881
http://arimatsu-kougei.com/shiboritaiken.html

自分好みのすてきな模様がつくれます

伝統工芸に触れられる体験施設

伝統工芸品を作ってみたいけど難しそう、そんなイメージはありませんか?
短時間で体験できる施設を紹介。初心者でも、優しく教えてくれるので友達や同僚を誘って出かけてみて。

色のグラデーションがすてきです。ギャラリーの2階は、個性的な作品を展示販売しているセレクトショップです

優しい気持ちになる
淡い色の陶磁器

瀬戸市を中心として焼造されている陶磁器、「瀬戸焼」。素焼きの生地に、カラフルな下絵の具で彩色したり、白い泥で花びらを描いたりと絵付け体験ができます。コースは、簡単コース(2700円)と本格コース(3564円)。本格コースは電話かメールで予約を。

galleryもゆ

瀬戸市朝日町48 ℡0561-85-8100
gallery moyu@gmail.com
http://setomachi.com/moyu/index.html#

繊細な技術に
思わず夢中

「友禅染」とは、古くから日本にある染め物の手法の一つです。手描きや型紙を用いるなど、さまざまな手法があります。体験メニューは、ハンカチ色挿し体験(1620円)や半衿色挿し体験(3240円)など。所要時間は1~3時間で、作品は持ち帰り可能。予約や人数は問い合わせを。

友禅工房堀部

西区万代町1-28 ℡052-531-9875
http://www.horibekoubou.com/

淡い色と濃い色で表現できます

色の配合で印象が変わっていきます

身につけて楽しむ
伝統の美しさ!

帯締などの和装小物として親しまれてきた「伊賀くみひも」。伊賀くみひも組匠の里では、キーホルダーやブレスレットの制作体験(1100円)ができます。友達や同僚などを誘って楽しんでみて。団体の場合は要予約。詳しくはホームページで確認を。

伊賀くみひも 組匠の里

三重県伊賀市上野丸之内116-2
℡0595-23-8038
www.kumihimo.or.jp


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