世界的ジャズピアニスト小曽根真さんが来福! インタビュー


11月29日(木)、福岡シンフォニーホールで一夜限りの「クラシック×ジャズ」を開催するからと、世界的ジャズピアニストの小曽根真さんが、自ら来福して取材会を開催しました。飾らない人柄の小曽根さんのインタビューをたっぷりお届けします!

 

――ピアノ、ジャズとの出会い

 

「父親がジャズの音楽家だったので、家にあったハモンドオルガン(ヤマハのエレクトーンの前身)を弾いてたいのですが、『それだったらピアノを習ってみたら』という母親のすすめで5歳からピアノを始めました。ですが、バイエルで、クラシックも譜面もピアノも大嫌いになってしまった(笑)。その後、12歳の頃に叔父のに代わりに行ったオスカー・ピーターソン(ジャズピアニスト)のコンサートで、『ピアノでジャズを弾いてもいいんだ!』と、ピアニストになる決心をしました」

 

――後に、アメリカのバークリー音楽大学を首席で卒業し、デビューへ。

 

「デビューして、作曲家として“自分の音楽”を作らなければいけないとなって、初めてクラシックを聞き始めました。でも、まさかクラシックを弾くことになるなんて自分の人生設計の中で微塵もなかったです」

 

――今や、ジャズピアニストながら、公演の4分の1をも占めるほどになったクラシック。クラシックを始めるきっかけとは?

 

「札幌交響楽団の定期演奏会にお声がかかって。その前に、コンダクターの尾高忠明さんが『ラプソディーインブルーを小曽根とやりたい』とラジオで言っていたとお聞きしていました。だからこれもご縁と思って『やります』と。ジャズミュージシャンは演目について事前に打ち合わせすることはないのですが、引き受けた後になって『もちろん演目はラプソディーインブルーなんだよね』とマネージャーから札響さんに確かめてもらったところ…『モーツァルトです』と。『俺、弾けないし!』って。『で、何番?』『小曽根さんに選んでほしいと』『…もうキャンセルできないね』って(笑)。その足でCDショップへ行って全集を買って、1曲30分の曲を10日間かけて全部聴きました。本番も、何を弾いたか覚えていないほどの、死ぬような緊張をして、弾きました。その演奏を、尾高先生が色々なところで、面白かった、良かったとおっしゃってくれたおかげでオーケストラからオファーがきはじめて。今は年間の最低4分の1はクラシックのちゃんとしたコンサートを。光栄なんですけども、怖い状況が続いています(笑)」

 

――なぜ、ジャズの対極にあるようなクラシックに惹かれたか

 

 「ジャズは即興音楽なので、日常会話のようにテーマだけいただいて、それを音を使って“話す”のですが、クラシックは“音が与えられているものを演奏する”こと。僕が勘違いしていたのが、『なぜ他人が書いた曲を自分が弾かなきゃいけないんだ』と思っていたのですが、弾く音が与えられている分、もっと深いところで自分を表現することができることを見つけた。ぼくというたった一人の解釈であっても昨日と今日は違う。“これが音楽なんだ”ということをクラシックに教えてもらったというか、表面的に新しいことをやっていくことだけがクリエイトではないと。 “やらなきゃいけないもの”は苦手なんです。楽しいことしかしたくないのですが、クラシックが楽しいことになっちゃったというところです」

 

――クラシックやジャズを身近に感じてほしい

 

「日本においては、クラシックもジャズも一般の方から距離が遠いんですよね。「分からなくてはいけないもの」になってしまっている。僕が日本でジャズとクラシックをやっていく中で、楽しさとかくだらなさとかもっと人間が生理的に感じていくものがここで表現されているのに、どうしたら一般の人たちに伝えられるのか、どうしたらいいのかと。コンサートというのはクラシックでもジャズでもやっぱり来るお客さんが幸せにならなければ意味がないと思うんですね。古典的なことでも前衛的なことでもやっている人が楽しんでないと。たった2時間ですが、音楽という言語を弾いたり感じたりして自分たちとの感情を共有して、それぞれの生活にもどっていく。という2時間だけの“運命共同体”みたいなのがあって、そこに僕らの音楽が存在しているという感じです」

 

――すばらしいコンサートは、どこがすばらしいか

 

「『すばらしいコンサートでした』ってお客さんに言われると、『それは受信機がいいんですよ』って言っています。仮に僕らがこの世のものとも思えない最高の音楽をやったとしても、それを『いい』と感じてくださる“受信機”がないと成立しない。これ、食べ物に例えると、食った時に『うまい』っていう感覚がないと無理というのと同じで。それを感じる力がやっぱり大切で、『自分の感性を信じていいんだよ』っていうのを思い出させてくれるのが芸術の一番大きな役割のような気がするんです。好き嫌いをちゃんと言っていい、自分の中で、ですよ。それをすることによってストレスはどんどん解消されていくはずなんです。ほかの人たちは、『いい』って言うけど自分は嫌いなんだ、それでいいんだよって感じることがすごく芸術の一番大事な部分。そして送信機である僕らが最高の状態で出ていく、皆さんの受信機がオンになるような演奏を僕らがしなきゃいけない。『あんたは泣いてたけど、こっちには響かないよ』なんていう、おめでたい音楽家にはならないように気を付けたいです(笑)」

 

――今回の「ジャズ×クラシック」について

 

「今回ゲストとして参加してくれるトロンボーン奏者・中川英二郎さんは、アンドロイドというあだ名がついていて、それくらい超絶技巧のトロンボーンを吹いてしまう人。僕はトロンボーンというと「ぞうさん」というのんびりしたイメージがあるのですが、こんな俊足で走るゾウはいない!と。時速200キロで走るサイみたいなね。『でも、サイですか』と中川くんには言われたんだけどね。彼と、バッハの音楽をやってみようということで」

 

――これまで小曽根さんが一度もバッハを弾かなかった理由

 

「今から300年近く前に書かれた音楽をやろうということなのですが、今まで僕が手を出さなかったというのは…バッハの作品って、譜面を逆からから弾いても、ひっくり返して弾いても音楽になる、ものすごく幾何学的にできたもの。そんなこと、誰も真似できないんですよ。あまりにも完璧なので、一音ずらしたら、その後のつじつまが合わなくなってしまう。だからあえて(アドリブで演奏するジャズでは)バッハはやらなかったのですが、今回、僕らの色に変えられるのか、それともクラシックのままお客様に提出するのか、それはこれからやってみようというテーマになります。バッハを弾いた時に、自分がそこから“何かをもらえるか”を大事にしたいなと。結局『さわらなかったんだね』となるかもしれない(笑)」

 

 

――福岡の印象

 

「福岡のお客さんは、はじめは照れ屋なのか、結構距離を感じるんですけど、コンサートが進むにつれてどんどん近づいてくるんです。毎回、第1部では『大丈夫? 今日弾けてるかな?』って思うほどの雰囲気なのですが、休憩が終わって第2部ではガラっと空気が変わる。すごく温かい雰囲気になっているんです。あれは福岡の特徴っていうか、ほんと熱いんですよ。いつもすごく乗せてもらえるんです。福岡シンフォニーホールは、世界のなかでも好きなホールの一つ。シューボックスタイプのホールって意外にありそうでない。ナチュラルで音が良く届くんです。そして、力を抜けば抜くほどよく響く。私自身、最初に弾いたころに比べるとかなりこの音に慣れてきたのと、クラシックも始めたことで、マイクを入れないでピアノを弾くことにだんだん慣れてきたのもあります」

 

――「怖いところに行く」

 

「公演の後半は、ジャズの即興メインにして、自分たちの曲を聞いていただこうと思うんですが、ジャズミュージシャンとして『怖いところに行く』が僕のモットーなんです。ジャズはアドリブで演奏する音楽なので、こうして話しているのと同じで、やっていくうちに流暢にアドリブができるようになる。流暢にキレイになってくると、それは“段取り”になる。慣れている感じっていうのが実はとても危険で、うまくなればなるほど、お客さんの心をつかめない演奏になってしまうんです。そこが落とし穴。“今、出ている音から次の音に紡ぐ”ことはするけれど、絶対に段取りでは弾かないというのが、アドリブをやっていく上ですごく大事なこと。すごい面白いアプローチをしたときは、そのやり方が刺さるんですよ。で、次(同じ曲を)弾く時に、そこ(同じアドリブ)に行ってしまうと、それは“栁の下のドジョウ”で、自分でもワクワクしない。お客様は演者がワクワクしていることを感じてくれている。これはわかるんですよ。しかも、わかるのが、ノンミュージシャンのみなさんで、『なんか(心に)来ない』って。だから本当にすごいアドリブしたときは、本当に目が離せなくなるもの。“どこいくの、どこ行くの、大丈夫?”というくらいドキドキするコンサートがジャズには合うと思います。

コンサートを“ライヴ”というように、どんなに練習をしてもミスタッチをすることもあれば、静かな独奏のタイミングに限って客席から思いがけない音がなることもある。『ああ、今その音が鳴るか!』みたいな。でもそんな空気感も含めて楽しんでほしいですね」

 

 

 

「これでいい?」とこちらにポーズを確認しながら、篠山紀信さん撮影のポスター写真と同じポーズをとってくれた小曽根さん。

 

 

小曽根真ピアノソロ ”クラシック×ジャズ”

日時 2018年11月29日(木)19:00
会場 福岡シンフォニーホール
料金 前売り S席6500円、A席5000円、学生2000円

※学生券はアクロス福岡、ヨランダオフィスのみで対応
チケットぴあ(Pコード:114-172)

ローソンチケット(Lコード:82551)

ヨランダオフィスチケットセンター

問合せ ヨランダオフィス・チケットセンター(10:00~18:00)

電話0570-033-337(ナビダイヤル)/ 電話092-406-1771

 

詳細はヨランダオフィスHP

 

 


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