今回のテーマは…「可能性がひらける・とじる季節」



環境の変化や出会いなど、僕らの人生には劇的に可能性がひらける、あるいは閉じていく特別な季節があります。今回紹介する2作は一方は徹底的に可能性がひらけ、他方は閉じていく作品ですが、不思議と両作とも鑑賞後の後味は甘美です。

「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」

ⓒ2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

野球の特待生として強豪大学に入学する主人公のジェイクが、入寮して大学が始まるまでの3日間を描く。鑑賞中途切れることのない多幸感も、ラスト20分あたりからいよいよ泣けてしようがない終盤も、すべては以下2点による。

すなわち人生の可能性が、ものすごい勢いで全方位に広がっていくこの季節限定の高揚と全能感、あるいは「いまだ何者でもない」からこそ「自分は何者にでもなれる」=“未然という可能性”が許された、期間限定の“祝福された不安と焦り”、である。

僕らはそれらがどれほどかけがえなく、また、甘美であるかを知っている。さりげない一言まで周到に編まれた完璧な脚本、みずみずしい演出。泣けます。

監督・脚本:リチャード・リンクレイター
出演:ブレイク・ジェナー、タイラー・ホークリンほか
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:ポニーキャニオン
DVD3800円(税別)、Blu-ray4700円(税別)発売中

「人生はローリングストーン」

天才作家として注目を集めながらも鬱によって自殺してしまった米国作家デヴィッド・フォスター・ウォレス。彼の生前、新刊ツアーに同行したローリングストーン誌の記者リプスキーの取材記をもとに、二人の5日間を映画化した実話。

自らも作家志望だったリプスキーにとって、狂気の天才ウォレスとの即座の意気投合は自尊心を満たして余りある喜びだったろう、が、やがて時間を重ねるほどに叩きつけられていくのはウォレスの超人性であり自分の俗人性だ。
「役者が違う」。これほど自らの“成せなさ”を刻みつけられた人間の顛末はといえば、もちろん苦く沈痛ではあるのだが一方で、宙づりの季節にやっと見切りをつけ、真に自らの人生を選べ始める、一種の救いにも似た安堵がある。なので、そう、この映画は“何者か”でなくてはいけないともがくことが苦しくなっているすべての人へ贈ります。こういう救われ方もあるのだ、と。

監督:ジェームズ・ポンソルト
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、ジェイソン・シーゲル
発売・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
DVD 1280円(税別)発売中

 
LOVE FMで営業・企画・ウェブ・イベントなど担当。このコーナーでは中学生の頃から現在まで書き溜めた映画ノートを携え、オススメ作品を選出
 

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