野村萬斎さんにインタビュー


野村萬斎さんMansai Nomura

本質を見失わないための信念
そして「我に疑いあり」

「働く人が我に返る“平成の時代劇”ですね」。野村萬斎さんは、映画「七つの会議」で企業のゆがみをひょうひょうとあぶりだす会社員を道化的に演じる。「八角(役)はぐうたらで、とぼけながらも事の本質を見抜いていて、人間としての一番の正義を性根に持っている。まず一個人であることを大事にする、そういう美学がいいですね」

今回の八角は、萬斎さんいわく“浮いた役”。「最初からカッコイイ役よりも、少しダメな人がヒーローになっていくのは好きなパターンなんです」

劇中で大きな分岐点になるのは、組織の理不尽な圧力に屈して個人の良心を曲げてしまうかどうか。「日本にはいまだに殿様を頂点としたヒエラルキー構造があって、そこが社会的な問題。僕も、八角と同じ選択をするかな。本質を失うということには敏感だから。これが抜けたら狂言ではなくなるといったことをよく考えます」

そんな信念を確立するために必要なのが、キャリアと人から学び分析すること。「僕も最初のうちは師匠の判断が基準でした。そのうち『ここまではOK、この先はアウト』という自分の中に線引きができてくれば果敢に行ける。表面的なマネではなくて、どうしてそうなったのか、失敗も分析しながら道理を考えると、その基準ができてくると思います」

ところで、萬斎さんが劇中泣けたのは「社内のドーナツ販売の提案をした女性社員」だとか。「人間は存在理由を見つけたいもの。どんな小さな仕事であっても何かを残したいというのが、人として生きる上で重要な部分だと思うから」

萬斎さんが心掛けるのは「我に疑いあり」。「信念も貫けばいいのではなく、意見が合わなかったり、腹が立つことがあれば、どうしてその相手はそんな発想をするのかを考える。自分にも原因があるかもしれないと。僕はいつも自分に一度疑いをかけています。そのやり方でいいの?とか、そもそも自分は狂言師をしていて本当にいいのか、とかね(笑)」

コレに出演!
「七つの会議」
 メーカーの万年係長・八角民夫(野村萬斎)は、かつて敏腕営業マンだったが、今は同期の部長・北川(香川照之)からの厳しいノルマも気にしない、ぐうたら社員。社内のパワハラ騒動をきっかけに北川と激突することになった彼は、やがて会社の謎と闇に気づく。

2月1日(金)から全国東宝系で公開 (c)2019映画「七つの会議」製作委員会

PROFILE

1966年東京都生まれ。1970年狂言の初舞台に立ち、1994年に萬斎を襲名。能楽師として狂言界で活躍する一方、NHK大河ドラマ「花の乱」、「あぐり」、ドラマ「黒井戸殺し」、映画「陰陽師」「のぼうの城」「シン・ゴジラ」「花戦さ」ほかに出演。現在NHKEテレ子供向け番組「にほんごであそぼ」レギュラー出演中

キャスティング・文/かしわぎなおこ(モアナ・サンライズ)、撮影/大仲宏忠、ヘアメイク/奥山信次(barrel)、スタイリスト/中川原寛(CaNN)


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