
ダラダラ時間を満喫して
エネルギーを充電しておくのも手
- 編 集
- ーーえるちゃんは、飲み会などにも参加せず、自分の時間がたっぷりあるのに、何もやらないことに後ろめたさを感じているようですが。
- 山田さん
- 何かをしていないといけないような気になってしまうのは、真面目な日本人特有の感覚かもしれませんね。外に目を向けてみると、例えばアメリカなどでは、若いうちにたっぷりと遊んだり、仕事をしたりしながら、人脈を築いて50代になってから起業する人がたくさんいます。50代になってから仕事に対して本気スイッチが入るようなライフスタイルもあるんです。日本で50代と言うと、「定年まであと10年だな~」などと考えがちで、新たに何かを始める人は少ないのですが…。
- 編 集
- ――今、えるちゃんは20代ですが、まだまだ焦らなくてもいいということでしょうか?
- 山田さん
- 人にはそれぞれ、その人に合ったタイミングでの出会いがあると思います。そして、出会ったときにやればいいんです。もし出会ったときに準備ができていなければ、やらなければいいだけです。そして本当に準備が必要だと気付いたら、準備を始めればいい。50代になってから踏み出してもいいんです。今、やみくもに焦る必要はないんじゃないでしょうか。
- 編 集
- ーー時間がたっぷりある中で、“ダラダラ”した自分のままでもいいと?
- 山田さん
いっそのこと、思いっきり“ダラダラ”を満喫したほうがいいですね。ダラダラと言う言葉がマイナスイメージに感じるなら、充電していると思えばいい。十分のんびりすごして、エネルギーを溜め込んでおくと、何かを始めようと思ったときに、その溜め込んだエネルギーで思いっきり頑張れます。この先、まだまだ30代、40代、50代と、いろいろなことに出会うでしょう。今は「出会っていない自分」を認めてあげればいいだけ。何かを本気で始めて忙しくなったら、ダラダラなんてできなくなってしまいます。今のうちに、楽しんでおけばいいと思います。
山田敏夫(やまだ・としお)。1982年熊本県生まれ。1917年創業の老舗婦人服店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイドインジャパン製品に囲まれて育つ。大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。2012年1月、ジャパンブランドの直販サービス「ファクトリエ」を展開するライフスタイルアクセント株式会社を設立。2015年経済産業省「平成26年度製造基盤技術実態等調査事業(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査事業)」受託者に選定される。
Factelier(ファクトリエ) https://factelier.com/
2012年10月に誕生した日本初のファクトリーブランド専門のファッションブランド。現在、日本のアパレル品の国産比率が3%にまで低下し、海外の一流ブランドを手掛ける日本の工場(ファクトリー)も大幅に減少。一流の工場でさえも生き残るのが難しくなっていることへの危機感から、工場に適切な利益をもたらし、日本の工場から世界一流ブランドを作ることを目標に誕生した。アパレル工場自らの名前で製造・販売する商品やブランドを、工場直販という仕組みでお客様に提供することで、一流ブランドと同じ品質を保ちながら、価格を3分の1に抑えている。
撮影/星 元、取材・文/TOKYOドーナツ 佐藤貴子
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