齊藤先生に聞く!【50】出産・育児のために「住む場所」を考えてみよう


自治体ごとに異なる
“子育て環境”

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。今回は、知っていると知らないでは大違い、私たちを取り巻く子育て環境についてお話したいと思います。

妊娠・出産のリテラシー、身につけていますか?

現在の日本は、妊娠・出産・育児がしにくいと多くの人が感じている状況です。
この状況を打破するために、前回のコラムでも紹介した『男性も女性も知っておきたい 妊娠・出産のリテラシー 「精子・卵子の老化」を超えて』を出版しました。この本で伝えたいことは、“妊娠・出産・育児をするには、多くの知識を知って、その知識を活用する力をつけていかなければならない”ということです。

そこで、今回は「出産・育児のために住む場所を考えたほうがいいか?」ということについて考えてみましょう。
「どこに住んで産み育てても変わらないじゃないか?」と思う人もいるかと思いますが、自治体によってかなりの違いがあるようです。

東京23区の「合計特殊出生率ランキング」に変動が!

例えば、以前から東京都でも、区や市によって「合計特殊出生率」が異なることが知られていました。「合計特殊出生率」という言葉、皆さんにとっては聞き慣れないかもしれませんね。年齢ごとに区分された女子人口に対する出生数の比率を「年齢別出生率」といい、「合計特殊出生率」は 15~49歳の年齢別出生率の合計です。すなわち、「合計特殊出生率」とは、1人の女性が生涯に産むことが見込まれる子どもの数を示す指標です。この指標が高いということは、その地域が、子どもを産みやすく育てやすい環境がある可能性がある、ということです。

東京都を大きく分けると区部、市部、郡部、島部と分けられます。この合計特殊出生率の値は、長年島部が高く、区部が低い状況です。この傾向はここ25年間変わらないのですが、区部に注目すると、実は最近ランキングに変動が起こっているのです。

東京都・区部における平成25年の合計特殊出生率のトップ5は、江戸川区(1.45)、足立区(1.36)、葛飾区(1.36)、江東区(1.33)、荒川区(1.30)でしたが、平成29年のトップ5は、中央区(1.42)、港区(1.42)、千代田区(1.41)、江戸川区(1.38)、江東区(1.35)という結果に。長年、独自の子育て支援や高齢者が活躍できる地域社会の構築など、地域力を上げる政策を取ってきた江戸川区がトップを走っていたのですが、平成29年では、今まで低値だった中央区、港区、千代田区がトップ3に入ってきています。

最近は特に、政府をあげて少子高齢化に対応する「働き方改革」をはじめとした政策が実施され、子育て環境はずいぶん変化してきました。しかし、自治体ごとに、その環境に差があることも事実です。皆さんが住居を構えるときには、仕事場と住居の「距離」も大切な要因ですが、住む地域の「地域力」が自分の希望しているものか、考えてみることも大切だと思います。

さまざまな知識を得て、自分の子育て環境についてじっくり考えてみてくださいね。

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター不妊治療科。日本産科婦人科学会・倫理委員会・登録調査小委員会委員長。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。内閣府「新たな少子化対策大綱策定のための検討会」委員


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