シネマ・ジャック&ベティ 支配人 梶原俊幸さん(34歳)

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シネマ・ジャック&ベティ 支配人 梶原俊幸さん(34歳)

シネマ・ジャック&ベティ
支配人 梶原俊幸さん(34歳)

感動が生まれる「場所」に
底知れぬ魅力を感じる

 かつて「映画の町」といわれた伊勢佐木町界隈(かいわい)も、シネコンの台頭により映画館の数が減少。そんな中、静かなブームに火をつけた一軒の映画館が! 若き支配人を、20周年を迎えた「シネマ・ジャック&ベティ」に訪ねました。

町と共に生きていく映画館をつくる

 イセザキモールの一本裏の通りで、昭和レトロな雰囲気を今に伝えるシネマ・ジャック&ベティ(J&B)。階段を上がると、往年の映画ファンが「郷愁を感じる場所」という小さなロビーがあり、その右手に名画座「ジャック」、左手にミニシアター系「ベティ」が併設されています。

 「僕が支配人になった理由ですか? いろいろな事を経験して行き着いたのが映画館だったから、ちょっと長くなりますよ」。そう言って照れ笑いを浮かべた支配人の梶原俊幸さん。出身は慶応大学環境情報学部。卒業後はライブハウス、学習塾を経てIT企業に勤務し、仕事の傍ら大学の夜間部に通って数学を学びました。さらにはホームページ上で“学びの場を共有する”ことを目的に、エデュイットというサイトを運営。それがきっかけとなり、J&B周辺の黄金町エリアの町づくりに友人二人とボランティアで参加することに。

 「2006年のことですね。当館は2005年に一度閉館していて、別会社が再開させたものの、厳しい状況は変わらず引き継ぎ手を探していました。私立探偵・濱マイクシリーズの舞台にもなったこの町に、おもしろみを感じていた我々に白羽の矢が立った。町の財産である映画館をつぶしてはならないと、2007年3月から正式に引き受けたんです」

 ふり返れば、梶原さんがこれまで一貫して大切にしてきたものは“場所”だったのかもしれません。人と人が出会い、感動する場所。学ぶ楽しさを共有する場所。そして、人々が共に生きる町。「魅力を秘めた町と映画館を連動させることで生まれてくる“何か”がきっとある。その確かな予感が、当時経験のない私たちを奮い立たせる原動力でした」

映画上映だけではない、“交流”の場所を

 再開から5年がたち、徐々に地域コミュニティーの場、文化拠点という夢に近づきつつあるという梶原さん。しかし、その道のりは決して順風満帆とはいえませんでした。

 「いったん閉館した映画館にお客さんの足が簡単に戻るはずはありません。いろいろな人の意見に耳を傾け、こだわりの作品を集めた映画祭を開催したり、横浜日仏学院や横浜国大、伊勢佐木町商店街などと連携した企画上映をしたりとさまざまな試みをしてきました。中でもお客さんに喜んでいただけたのが、上映作品の監督や出演者を招いてのトークショー、主題歌のライブ演奏ではなかったでしょうか。それらはホームシアターでは味わえない醍醐味(だいごみ)であり、かつ小さな映画館だからこそできる付加価値ですからね。J&Bでは、そんな独自性を生かした“交流の場”をこれからもどんどん企画していきたいと思っています」

 梶原さんによると、3年前から始めた会員制度で集まったメンバーは1000人以上。月1回梶原支配人と話ができるサロンも和気あいあいとした楽しいイベントのようです。

 「この場所で、このタイミングでしか共有できないものを逃す後悔だけはしたくないんです。映画のこと、町のこと、できるだけ多くの話をしましょう」と梶原さん。地域に根付いた静かなブームに、終わりはなさそうです。

プロフィル

横浜生まれ、東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業。ライブハウスに勤務した経験から、コミュニケーションを育む「場所」への興味を抱く。また「学び」をテーマに学習塾講師を経験。IT企業勤務を経て、2007年3月から現職。黄金町エリアの町づくりにも参加し、町と一体となる映画館の運営に努める

▼非日常の空間に身を置き
  フランス映画を体感して!

 梶原さんがシティ読者におすすめのフランス映画をセレクトしてくれました。
「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」(原題:LES AMANTS DU FLORE/2006年製作)
「実存主義」を広めた哲学者ジャン=ポール・サルトルと、「第二の性」の著者シモーヌ・ド・ボーヴォワールの知られざる愛の軌跡。
※1月28日(土)からベティで上映
 また同時期、ジャックでは、名画「歴史は女で作られる」(原題:LOLA MONTES / 1956年製作)のデジタル・リマスター完全復元版も。
TEL 045-243-9800
住所 横浜市中区若葉町3-51
http://www.jackandbetty.net/


「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」 「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」
©PAMPAPRODUCTION-FUGITIVE PRODUCTIONS-MMVI
http://www.tetsugakutoai.com/
一般1700円、大専1400円、小中高シニア1000円
[情報掲載日:2012.1/25]