齊藤先生に聞く!【32】1年前に比べ約3万件増加、高度不妊治療


最新! 2015年、生殖補助医療の現状

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。今回は、昨年もお伝えした日本の生殖補助医療について(第11回 急速に増え続ける、高度不妊治療件数第12回 年齢により異なる、生殖補助医療治療の成功率)、2015年のデータが発表されましたので最新情報をお伝えしつつ、現状について思うことをお話ししますね。

生殖補助医療とは、体外受精などの高度不妊治療のことです。
2015年の詳細データについて興味のある方は、下記へアクセスしてみてください。
http://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2015data_201709.pdf

高度不妊治療を受けている方の43.4%が40歳以上です

2015年は高度不妊治療の総数が42万4151件となり、2014年よりも約3万件増加しています。また、40歳以上でこの治療を受けている割合は43.4%となり、2014年に比べて約1.2%増加しています(図参照)。

年齢別の妊娠率・生産率・流産率を見ると、高齢な方ほど妊娠・出産する可能性が低くなります。高度不妊治療を受けている方にとっても高齢化は、とても深刻な問題です。

なお、高度不妊治療で生まれた赤ちゃんの数は5万1001人。日本で出生した全部の赤ちゃんの5.2%、すなわち19.2人に一人は高度不妊治療で生まれたことになります。いかに多くの方が、高度不妊治療を頼って、赤ちゃんを生んでいることでしょう。

大切なのは、妊娠・出産・育児しやすい社会環境を整備すること

不妊治療を受ける方が増え続ける現状を打破するために、このコラムをはじめいろいろなメディアで、妊娠の適齢期は若い時期にあることを伝えています。ですが現状から察するに、妊娠に関わる知識を広めるだけでなく、妊娠・出産・育児しやすい社会環境を整備することが大切なのだと痛感させられます。

このコラムの読者の皆さんは、妊娠に関わる知識をずいぶんお持ちのことでしょう。とはいえ自分自身に当てはめた場合、「そうは言っても、すぐに妊娠・出産しようと思う気持ちに結びつかない」と思われている方が、実際には多いのではないでしょうか? その理由としては、仕事(キャリア)の問題や出会いの問題が大きいのではないでしょうか?

妊娠・出産・育児しやすい社会環境を整備することは、まだまだ時間がかかるかもしれません。自分の身近な人たちが高齢になってから出産を考え、不妊治療を受けるのを見ていると、不妊治療を受けることへの抵抗感も薄らぐかもしれません。また、タレントなど有名人の高齢出産が大きく報じられると、高齢の自分でも大丈夫だと、何の根拠もないのに自信を持ってしまうかもしれません。

でも、現実はそんなにうまくいくとは限らないことも、賢い皆さんはお気づきのことでしょう。仕事で忙しくてほかに目が行かないことや、出会いを見つけるのは大変だと思っているかもしれません。

2015年の生殖補助医療データが発表されたのをきっかけに、走り続けている日常生活から一度立ち止まり、ご自分の状況やライフプランを考えてみてはいかがでしょうか。

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター不妊治療科。日本産科婦人科学会・倫理委員会・登録調査小委員会委員長。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。内閣府「新たな少子化対策大綱策定のための検討会」委員

※記事中の図は日本産科婦人科学会のデータなどに基づき、齊藤英和先生が作成


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