齊藤先生に聞く!【29】甲状腺ホルモンについて


甲状腺機能が異常時の
症状を知っておきましょう

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。今回は、甲状腺ホルモンについてお話ししましょう。

細胞の働きを高める甲状腺ホルモン

当不妊診療科では不妊治療のホルモン検査の際に、甲状腺ホルモンについても調べています。男性と比較すると女性は甲状腺ホルモンが乱れていることも多く、月経にも影響を及ぼすためです。

甲状腺ホルモンは全身のほぼすべての細胞に作用し、細胞の働きを高めます。ですので、甲状腺ホルモンが低下すると月経異常だけでなく妊娠中の胎児の発育にも影響します。そのため、不妊治療の最初に甲状腺ホルモンが正常かどうか確かめておくことが大切なのです。

ヨウ素を多く含む昆布などをたくさん食べていると甲状腺にも影響しやすいのですが、そもそも、皆さんは甲状腺という言葉を聞いたことがありますか。

甲状腺は喉の前側にある器官で、甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)やトリヨードサイロキシン(T3)を産生、分泌します。検査では甲状腺ホルモンのほか、甲状腺ホルモンの産生や分泌に関わる甲状腺刺激ホルモン(TSH)も一緒に測定します。

TSHは下垂体で産生、血中に分泌され、甲状腺まで到達しT4やT3の産生を促進します。T4、T3、TSHに異常値を認める場合には、甲状腺ホルモンに関連する抗体(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)を検査します。

これらの抗体が高濃度にある場合、不妊治療の前に甲状腺の治療を優先してもらうようにしています。

子宮卵管造影検査の前に甲状腺ホルモンを検査する理由

なお不妊検査の一つに、子宮卵管造影検査があります。

子宮の形や卵管の通過性を調べるこの検査を行う際、造影剤を使用します。造影剤にはヨウ素が含まれており、甲状腺機能に影響します。ですから子宮卵管造影検査の前に甲状腺ホルモンを検査し、異常の場合には薬でコントロールしてから子宮卵管造影検査を行います。

さらに子宮卵管造影検査のときも、造影剤の使用量を極力少なくするか、油性ではなく水溶性の造影剤を使用し、なるべく甲状腺への影響が少なくなるように心がけます。

甲状腺機能を正常に保つように心がけつつ、異常時の体のサインを知りましょう

妊娠時は胎盤から妊娠判定にも使用している胎盤性ゴナドトロピン(hCG)が分泌されるため、正常の妊娠であったとしても、非妊娠時に比較して甲状腺がより刺激されます。ですので、妊娠前に甲状腺機能を正常に保つようにしておくことはとても大切です。

甲状腺機能が異常の時の症状としては、非常に亢進しているときは手足のふるえ、眼球突出、動悸、甲状腺腫脹、多汗、体重減少、高血糖、高血圧などがあります。反対に甲状腺ホルモンの分泌が低下しているときは、全身倦怠感、発汗減少、体重増加、便秘などがあります。

自然妊娠した人であったとしても、上記の症状による心配がある際には、ぜひ早めに医療機関で甲状腺ホルモンを測定してもらってくださいね。

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター不妊治療科。日本産科婦人科学会・倫理委員会・登録調査小委員会委員長。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。内閣府「新たな少子化対策大綱策定のための検討会」委員


    • 『後悔しない「産む」x「働く」』を5人に

      齊藤先生とジャーナリストの白河桃子さんが共同執筆した、今を生きる働く女子必読の一冊! 『後悔しない「産む」x「働く」』(ポプラ新書/¥864)をプレゼント。


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