齊藤先生に聞く!【16】知ってほしい、精子の老化について


加齢に伴う、
精子の質の低下

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。今回は、男性の加齢に伴って精子の質がどのように変化するのか、お話しましょう。

卵子とは異なる、精子の作られ方

男性の加齢による、相手の女性を妊娠させる能力の低下には、精子が作られるところから射精されるまでに関わるいろいろな部位が総合的に関与しています。
年齢を経ることによってそれぞれの部位の機能が悪くなることが、女性の妊娠する能力の低下につながります。
それは卵子の場合、女性の加齢によって卵子の数が減少し、質が低下するだけでなく、卵子を運ぶ卵管や受精卵が着床する子宮も機能や形態が悪くなることと同じ現象です。

以前、年齢による卵子の質の低下について説明(年齢と流産率の関係)しましたが、今回は加齢に伴う精子の質の低下についてです。
母親のおなかの中にいるときにすべての卵子が作られること、また、その後は作られることなくどんどん数が減少していくとともに、作られてからの年月が経つにつれて古くなり、受精する際に卵子の染色体数が多くなったり少なくなったりすることが起こりやすくなる、ということを以前、お話しました。

精子は卵子とは異なる作られ方をしているため、年齢が高くなることで現れる質の異常についても異なります。まずは精子がどのように作られていくのかについてお話しましょう。
精子の基の細胞(精原細胞)はまず、卵子と同じように、母親のおなかにいるときに20回ぐらい分裂して増えます。
その後いったん分割を停止しますが、思春期ごろからまた分裂を再開し、約16日に一回分裂、すなわち年に約23回分裂を続けます。

精子は、年齢が高くなっても常に分割を繰り返し、常に新しい精原細胞を作っています。ですので、これから分化する精子は常に新しく作られます。とはいえ、やはり問題はあるのです。

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男性の年齢と精原細胞の総分裂回数の図を見てください。たとえば40歳の場合、20回(生前)+23回x27年(14歳から40歳まで)=741回となります。
このように、卵子に比べると、とても多い分裂回数となります。

細胞の分裂には同じDNAが複製されて、2つの細胞に分かれます。
しかし、ごくまれですが間違えるといわれています。
その間違える数は、年に2個と推測されています。
この数について、胃・大腸・肺などほかの臓器では10倍くらいですから、精巣はかなり安全な臓器といえます。
それでも40歳だと、約48個の間違いが起こることになります。
もちろん、加齢に伴いその数も増加する、ということもわかりますね。

ぜひ知ってほしい、男性の加齢に伴う精子の質の低下

その影響は次世代のいろいろなところに出てくると考えられます。
事実、高齢の父親から生まれた子には、自閉症、鬱、多動性障害、双極性障害などの精神疾患が増加することがわかっています。
女性の年齢が及ぼす卵子への影響とは異なりますが、やはり、男性の年齢も精子にいろいろな変化を起こします。
このことを知って、ご自身のライフプランに役立ててください。

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター不妊治療科。日本産科婦人科学会・倫理委員会・登録調査小委員会委員長。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。内閣府「新たな少子化対策大綱策定のための検討会」委員

※記事中の図は「Goriely A, et al; Am J Psychiatry 2013;170:599-608」のデータに基づき、齊藤英和先生が作成


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