妊娠前、妊娠計画前から、しっかり取りたい! 葉酸について


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イラスト:ミヤギユカリ

バランスのよい食事に、サプリの活用も◎

前回は、子どもを持ちたい人にも、子どもを持つことを考えていない人にも、大切な「プレコンセプションケア」についてお話ししました。いつか生まれてくる赤ちゃんのために、そして、何よりも自分自身のために、妊娠前から健康づくりをしましょうという考え方です。今日はプレコンセプションケアとしての「葉酸摂取」について考えてみましょう。

葉酸の効果

すでにお子さんがいる方なら、「妊婦さんは葉酸を取ったほうが良い」と聞いたことがあるでしょう。母子手帳に書いてありますし、産婦人科にも葉酸サプリメントの試供品が置いてありますよね。葉酸はビタミンB群の一種で、赤ちゃんの先天異常である「神経管閉鎖障害」を予防する効果があります。

「神経管閉鎖障害」は中枢神経(脳や脊髄)のもとである神経管が作られるときに起こる異常ですが、赤ちゃんの神経管は妊娠6週(生理が2週間遅れたころ)に完成するので、妊娠に気づいてから葉酸を取るのでは遅いと考えられています。

厚生労働省は、妊娠の少なくとも1カ月以上前から、1日400マイクログラムの葉酸摂取を勧めていますし、米国では妊娠の3カ月以上前から勧める報告もあります。神経管閉鎖障害はさまざまな原因で起こるため、葉酸を十分取っても全てを予防することはできませんが、70%が葉酸で予防可能であると見込まれています。妊娠の決心をしたときのため、偶然妊娠したときのため、日頃から葉酸を摂取しておくことが大切ですね。

葉酸の取り方

葉酸は、緑黄色野菜や果物、レバーなどの食品に多く含まれます。

※葉酸を含む食品やメニューはこちらへ 国立健康・栄養研究所
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail652.html

葉酸を取るには、バランスのよい食事が第一ですが、食事からの葉酸(食事性葉酸)は、サプリメントの葉酸(合成型葉酸)とちがって、消化吸収の過程で半分くらい失われます。ですから、厚生労働省のいうところの1日400マイクログラムの葉酸(合成型葉酸)を取るには、800マイクログラムもの食事性葉酸を取らなくてはならず、食事だけから必要量を取るのは現実的には難しいと考えられます。

米国では1998年から、全ての穀類(小麦粉、パスタ、シリアル等)に合成型葉酸の添加が義務付けられています。つまり、米国在住であれば、通常の食事から1日190~240マイクログラムの合成型葉酸を自動的に摂取できます。妊娠可能年齢の女性(10代~40代の全ての女性)は、足りない分をサプリメントで追加して、合計400マイクログラムの合成型葉酸を毎日摂取するよう勧められています。

米国に続いて多くの国々で葉酸の食品添加が義務化されていますが、残念ながら日本では導入されていません。食品会社が自主的に葉酸添加を行っている食品(乳製品やクッキーなど)がありますので、探してみましょう。海外の状況に照らせば、シティWeb世代の女子は、積極的な妊活中でなくても普段から、意識して葉酸添加の食品を利用していくのが望ましいでしょう。

さて、みなさん気になるのは安全性ですよね。1日に1000マイクログラムを超える合成型葉酸には副作用の可能性があります。でも決められた量のサプリメントであれば、食事と合わせても1000マイクログラムを超えることはありません。米国では「400マイクログラムをサプリメントや葉酸添加食品からとったうえで、バランスのよい食事をしましょう」と勧めているくらいです。ただ、2011年の国民生活センターの調査によれば、販売されているサプリメントの一部に記載のわかりづらいものがあったようです。種類も多いですから、薬局や薬店で薬剤師さんから説明を受け、成分を確認したうえで購入すると安心できますね。

次回はプレコンセプションケアとしての「避妊」について一緒に考えていきましょう。

前田恵理先生
1979年生まれ。2004年東京大学医学部医学科卒業。都内の医療機関・行政機関勤務を経て、平成28年から秋田大学大学院医学系研究科「環境保健学講座」助教。カナダの家族形成に関する心理的支援ウェブサイト( MyFertilityChoices.com)の日本語版ウェブサイト( http://myfamilychoice.jp)を運営。
参考文献:

  • 厚生労働省 難治性疾患克服事業・研究班 葉酸普及研究会.
    http://yousan-labo.jp/index.php
  • 国立健康・栄養研究所.
    http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail652.html
  • 独立行政法人 国民生活センター. 胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品.
    http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110526_1.pdf
  • 日本産科婦人科学会. 日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン-産科編2014.
  • 佐藤陽子, 中西朋子, 千葉剛, & 梅垣敬三. (2014). 妊婦における神経管閉鎖障害リスク低減のための folic acid 摂取行動に関する全国インターネット調査. 日本公衆衛生雑誌, 61(7), 321-332.
  • Frayne, D. J., Verbiest, S., Chelmow, D., Clarke, H., Dunlop, A., Hosmer, J., ... & Zephyrin, L. (2016). Health care system measures to advance preconception wellness: consensus recommendations of the clinical workgroup of the National Preconception Health and Health Care Initiative. Obstetrics & Gynecology, 127(5), 863-872.
  • Moos, M. K., Dunlop, A. L., Jack, B. W., Nelson, L., Coonrod, D. V., Long, R., ... & Gardiner, P. M. (2008). Healthier women, healthier reproductive outcomes: recommendations for the routine care of all women of reproductive age. American journal of obstetrics and gynecology, 199(6), S280-S289.

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