自分で決めよう、子どもを持つ選択、持たない選択<前編>


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イラスト:ミヤギユカリ

子どもを持つのか、持たないのか。子どもを持つとしたら、いつがベストなのか。
医学知識だけでいえば妊娠・出産の適齢期は20代なのかもしれません。
でも、実際には仕事、パートナーとの関係、経済的なことなど、考えなければならないことが多く、決断は本当に難しいものです。それは日本だけではなく、世界中で多くの女性が抱えている問題でもあります。

このコラムでは、医学知識をはじめとした国内外の情報を幅広く取り上げて、これからどのような家族を築いていくべきか迷っている女性たちがベストな選択をするためのヒントをお伝えしたいと思っています。

自分で決めよう、子どもを持つ選択、持たない選択<前編>

現代の女性に求められているのは
“自分自身で決める”こと

現代の女性が置かれている状況についてお話しする前に、まずは以前どうだったか、ということについてお話しますね。

ちょうど私たちの母親世代でしょうか、1980年の女性の平均初婚年齢は25歳でした。
女性の大学進学率は12%とまだまだ少なく、9割以上の女性が20代で結婚していました。家庭の主な働き手は男性で、8割以上の夫婦が子どもを2人か3人持つ時代です。

私自身も専業主婦家庭で育ちましたが、母親たちの世代はレールに乗るのが当たり前だったようですし、子どもを持つかどうかという選択について、改めて「自分で決める」必要性は低かったかもしれません。

ところが、女性の高学歴化及び就業の増加と長期化、社会通念や価値観の変化などに伴い、年々、晩婚化および晩産化の傾向は強まっています。
現在、30代前半の男性の約半数、女性の3人に1人は未婚ですし、子どもを持つことは、かつてよりもはるかに意識的な、決断を伴う行動になったといえるでしょう。

思った以上に現実はハード!? 

医学的な観点からいえば、30代前半までに子どもを持つかどうか決めて行動するのが望ましい。

でも、それはつまり、20代から30代にかけてのわずか15年ほどの間に、人生で特に大切なイベントについて、次々と決断しなくてはならないことを意味します。卒業、就職、結婚、妊娠そして出産。スムーズに進むこともあれば、一つ一つに案外時間がかかることもありますよね。短期間に決めて進むのは大変なことです。

厳しい取捨選択を迫られた結果、決断を先送りする場面もあるでしょう。
欧米の女性も、出産について先送りする傾向があるのは共通です。
デンマークやスウェーデンなどでも、親になるには学業を修了すること、仕事を持つこと、安定した収入と適当な住居を確保することが重要だと考える男女が多く、そういったことに対する準備ができるまで、出産を先延ばしにする傾向があると言われています。  

ただし、必ずしも「あえて遅らせているわけではない」ことにも注意が必要です。イギリスの研究では、妊娠を遅らせた女性たちは、決してキャリアを優先したとか、野心から先延ばししたわけではない、さまざまな理由で結果的にタイミングが遅れただけである、と報告されています。

自然の流れにまかせるだけでは、子どもを持つか、持たないか、いつ何人持つのか、について主体的に選べる時期を逃してしまいがちです。まずは「私が決める」という意識を持ちたいですね。

前田恵理先生
1979年生まれ。2004年東京大学医学部医学科卒業。都内の医療機関・行政機関勤務を経て、平成28年から秋田大学大学院医学系研究科「環境保健学講座」助教。カナダの家族形成に関する心理的支援ウェブサイト( MyFertilityChoices.com)の日本語版ウェブサイト( http://myfamilychoice.jp)を運営。
参考文献:

  • Cooke, A., Mills, T. A., & Lavender, T. (2012). Advanced maternal age: Delayed childbearing is rarely a conscious choice: A qualitative study of women's views and experiences. International journal of nursing studies, 49(1), 30-39.
  • Lampic, C., Svanberg, A. S., Karlström, P., & Tydén, T. (2006). Fertility awareness, intentions concerning childbearing, and attitudes towards parenthood among female and male academics. Human Reproduction, 21(2), 558-564.
  • Mills, M., Rindfuss, R. R., McDonald, P., & Te Velde, E. (2011). Why do people postpone parenthood? Reasons and social policy incentives. Human reproduction update, 17(6), 848-860.
  • Rasch, V., Knudsen, L. B., & Wielandt, H. (2001). Pregnancy planning and acceptance among Danish pregnant women. Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica, 80(11), 1030-1035.
  • 津谷典子. (2009). わが国の少子化に伴う家族の変化と今後の展望. 公衆衛生73(8): 568-572.

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