クラッとする原因は? 貧血と低血圧の違い|ビューティー研究室

クラッとする原因は? 貧血と低血圧の違い

クラッとする原因は? 貧血と低血圧の違い

朝起きられないのは低血圧?人込みでめまいがするのは貧血…? 女性にとって気になる症状のひとつ、めまいや立ちくらみ。よく耳にする低血圧や貧血と関係があるのでしょうか? 混同しやすいこの2つについてアドバイザーの福山千代子先生に教えていただきました。

イラスト/清水久美子

電車で立っていられなくなるほど貧血が…。
改善方法を教えてください!

もともと低血圧で貧血気味ですが、月に何度か電車でも立っていられなくなるほどの貧血になることがあります。貧血を正常にするために、サプリを飲んでいますが、もっと効果が表れる方法はないでしょうか。(M.M 28歳)

症状が辛い場合はまず血液検査を
原因が貧血か低血圧かを調べましょう

朝が弱く、早起きが苦手な方が、「低血圧だから」とか「貧血だから」と言うのをよく聞きます。確かにふらふらしたり、めまいや立ちくらみを起こすので症状は似ていますが、貧血と低血圧はまったく関係がありません

貧血とは血液が薄くなっている状態、正確には体の中の酸素を運ぶヘモグロビンの量が減少している状態のことを言います。それに対し、低血圧は、心臓から押し出された血液が血管の壁を内側から押す力が弱くなっている状態であり、貧血と低血圧は全く違う病態です。

急に立ち上がったり、立ち続けることで血圧が低下し、めまいや立ちくらみが起きる、一過性の起立性低血圧を“脳貧血”と呼ぶことがありますが、それは俗称であり、この2つを混同してしまう人が多いのかもしれません。

それぞれの病態についてもう少し詳しく説明しましょう。血液が赤い色をしているのは、赤血球に含まれるヘモグロビンのためです。ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身の組織に運んで、供給するという大切な役割を果たしています。そのために、ヘモグロビンの量が減り、貧血の状態であると、細胞に供給される酸素が足りなくなるので、顔色や唇の色が悪くなったり、酸素不足を補うために心臓や肺が余分にはたらき、少し動いただけでも息切れ、動悸が起こったり、疲れやすかったり、立ちくらみや頭痛などの症状を引き起こすこともあります。大出血があった時など急に貧血が進んだ時は症状が強く出ますが、生理の量が多い過多月経などで毎月少しずつ貧血が進んできた場合には、体が慣れてくるので、貧血が強いわりに自覚症状が乏しいことがよくあります

今回のアドバイザー 福山千代子さん
福山千代子
(ふくやま ちよこ)

日本産婦人科学会専門医
アヴェニューウィメンズクリニック
院長
http://www.aw-clinic.com/

金沢医科大学卒業。東京大学医学部付属病院、茨城県立中央病院で研修後、社会保険中央総合病院等の勤務を経て、2012年3月アヴェニューウィメンズクリニックの院長に就任。また、2007年4月より獨協大学の校医として婦人科相談も行っている。

「働く女性にとって一番大事なのは健康です。多忙でストレスフルなみなさんこそ、自分の体をよく知ることでより活き活きとした素敵な生活が送れるようになると思います。みなさんの健康で素敵な生活のために、よいアドバイスができればと思っています」

貧血の診断は、採血でヘモグロビンの濃度を測定すればすぐにわかります。貧血があるから血液の病気とは限りません。例えば、胃潰瘍腸のポリープ不正性器出血過多月経などにより、慢性的に出血が起こっていれば貧血になることがあるからです。女性の場合、月経により毎月出血しているようなものなので、その出血量が、骨髄(骨の内部に存在する造血組織)で作られる血液量より多くなると、少しずつ貧血が進んでいくことがよくあるのです。それ以外にも貧血になる原因は、骨髄の病気や血液の病気などによるものもあるので、貧血の検査はとても大切な検査です。

そもそも血圧とは、血液の圧力によって血管壁が押される力のことで、心臓から送り出される心拍出量(血液の量)と、血管抵抗(血管の硬さ)によって決まります。心拍出量が多くなれば血圧は上がり、血管抵抗が小さくなれば、血圧は下がるという関係にあります。高血圧には世界的な判断基準があるのに、低血圧の判断基準は、それぞれの医師や研究者によって意見が違います。それは、高血圧は放置すると、脳血管障害や心臓病を起こすのに対し、低血圧症は基本的には生命への影響が少ないためです。一般的な低血圧の基準は、安静にして血圧を測ったときの収縮期血圧(心臓が収縮して、全身に送る血液が動脈に押し出されたときに血管壁にかかる圧力)が100〜110mmHg以下拡張期血圧(心臓が拡張して、戻ってきた血液をため込んでいるときに血管壁にかかる圧力)が、60mmHg以下とするものが多いですが、実際、若い女性ならこのくらいの血圧でも全く症状がない方もたくさんいると思います。

低血圧の原因は、はっきりとした原因のない本態性低血圧が最も多いです。先に述べた、立ち上がったときに起こるめまいや立ちくらみなどの起立性低血圧は、長時間立ち続けることで重力に従って血液が下肢の方に溜まり末梢の血管が拡張、血管抵抗が低下し血圧が下がり、脳などの中枢神経に行く血液が少なくなるために、脳が低酸素状態になることで起こります。また、ランチ後に眠くなるなどの食後性低血圧も、食べた食物を腸で消化しようとして急に腸に血液が集まることにより起こります。

低血圧症状の多くは原因がはっきりしないもの
症状を緩和させる自分なりの工夫も必要

もし、めまいや立ちくらみなど、低血圧なのか貧血なのかどちらが原因で起こっているか分からない症状があるならば、病院で採血をし、貧血がないかどうかの確認をしてください。貧血であれば、何が原因で貧血になっているのかを確認し、治療が行われます。例えば胃潰瘍で持続的な出血が起こることにより貧血になっているのであれば、胃潰瘍の治療をし、出血を抑えることで貧血は改善します。過多月経の場合は原因が子宮筋腫であれば手術をしたり、原因がない場合でもピルを内服したりすることで月経量を減らし、貧血を改善させます。また、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群といった血液の病気の場合も貧血症状が初期症状となることがあるので気をつけましょう。

貧血はなく、血圧が低かった場合、低血圧の原因を調べます。先ほども述べたように、多くは原因のはっきりとしない本態性低血圧ですが、そのほか低血圧の原因として考えられるものとしては、心拍出量を減らすもので大動脈狭窄症(だいどうみゃくりゅうきょうさくしょう:大動脈の入り口の弁が狭く、左心室から大動脈へ血液がスムーズに送り出せなくなる病気)、血圧を調整する自律神経の調整を障害するもので糖尿病など、大きな病気が隠れていることもありますので気をつけましょう。

めまいや立ちくらみといった、おそらく多くの女性が抱えているであろう、原因のはっきりしない本態性低血圧の場合は、薬物療法よりも、過労を避け十分な睡眠をとり、規則正しい生活を行うようにします。例えば朝がつらくてなかなか起きられない人は、起床時に急に立ち上がるのではなく、しばらくベッドに座りその状態から立ち上がるなど、急激な動作は避けるように注意しましょう。また、満員電車などの人込みの中にいる時や猛暑や台風など天候などにより症状が出やすく、悩んでいるという人は、交通手段や外出の時間帯を変えるといった工夫も必要になるかもしれません。水分摂取量を多くし、腎臓や心臓の疾患などの合併症等の問題がなければ、食塩も多めに摂取してもかまいません。また、たんぱく質ミネラルビタミンに富んだ食事を摂るのもおすすめです。

2012.01/11 | [健康] | コメントを読む (0) | テーマのTOPへ

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